栃木県古民家再生協会

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ご挨拶

ito-picture日本の歴史的建築は、その殆どが木造建築です。

各時代に建てられた城や大小様々な社寺、軒を連ねる町屋や庶民家、雪深い地に点在する茅葺の集落等々、各地の風土に応じ、木材をはじめ土や石、竹、紙、などの自然の素材を材料とし造られた建築こそが日本が築き上げた自然環境と共存した循環型建築の文化といえます。

 

日本の伝統工法で造られたこれら古民家は、幾度とない天災にも耐え100年、200年も使い込まれながらも、なお限りないほどの力強い生命力を私たちに示し、たくましさと、見る者の心を打つ魅力を持ち続けています。

そして、施工性や機能性を追求した現代の住宅と比較したとき、金物や建材に頼らず手作業により職人の巧みな技術と知恵で組まれた柱や梁の太く安定した骨格、更にその黒く燻された古材の生命力は住宅(民家)としての本質的なものの違いをまざまざと見せつけられます。

 

しかし、こうした古民家は機能性を求める現代の生活には合わず、寒くて不便、古くて暗い、などの理由により放置されたり、取り壊されたりと様々な形で姿を消しつつあります。

大量に生産され大量に廃棄される現代の短命な住宅と同様、解体されてしまえば自然環境に大きな負担を与える産業廃棄物となり、代々住み継がれ築かれた歴史や風情も途絶えてしまうことになります。

重機もなく工具も乏しい時代に大勢の手を借り山から必要なだけの木を伐りだし柱や梁に加工して造り上げられた民家には「末代までも朽ちることなく」と家主、職人が願を籠めたに違いありません。

 

私たちは、こうして造られ今なお各地に点在する古民家を安易に壊し廃棄してしまうのではなく、古民家の優れた利点を生かし現代の生活に即した修繕を施す現地再生や生活しやすい場所へ移す移築再生、あるいは止むを得ず解体するとしても歴史の刻まれた柱や梁など古材を新たな家の部材とする古材利用など、さまざまな形で再生の可能性を追求し、次世代の子どもたちが生活する背景にしっかりと残していく取り組みが必要なのです。

 

未来の環境を考え、現代の廃棄型の社会体質から古民家再生協会の理念に基づき環境循環型社会の創造に努めてまいります。

 

 

一般社団法人日光古民家再生協会 代表理事

伊藤 郁夫